犬の笑顔はアハー

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久しぶりに音楽いろいろ

 9月は久しぶりに音楽モノのお出かけが3回。

 まず10日。佐野元春の1983年に公開されたというドキュメンタリー、『Film No Damage』を夫と見にいった。このフィルム、長いこと行方不明だったらしいが昨年奇跡的に見つかって、初上映から30周年の今年、劇場公開することになったそうだ。

 映像の中の元春は若かった。30年前なんだからあたりまえだけど。今の私達よりもずっと若い、20代の元春だ。見た目はもちろん、声も今とはちょっと違うけれど、芯の部分は変わっていない。

夫婦で元春を聴きながらどちらからともなくよく出る言葉。

「元春って結局ずーっと昔から『いつかきっと来る希望』についてうたっているよね。」

30年以上にわたってずっと変わらずにうたい続けている元春(バンドは変わってるけど)、中学生の頃から40代の今までずっと元春を聴き続けている夫(だけでなく他の長年のファンの方々も)、なんだか皆で一緒に成長していってるようでいいなあ、と、このドキュメンタリーフィルムを見て改めて感じたのでした。

 

 それから18日、山口洋(HEATWAVE)×仲井戸”CHABO”麗市「MY LIFE  IS MY MESSAGE 2013」のために南青山マンダラへ行った。これは一人で。このライブは福島県相馬市応援プロジェクト(http://mylifeismymessage.info/)の活動のひとつだという。入口では『そうまかえる新聞』を配っていた。

 HEATWAVEは92年に出た『陽はまた昇る』というアルバムを持っていてずいぶん聴いた。他のアルバムは聴いた事がない。山口洋の声は好きなので初めてのライブを楽しみにしていた。

 ライブ構成は1部が山口洋のソロ、2部がチャボのソロ、3部が二人で、というもの。

「仲井戸弟です。」と出てきた山口さん、1曲目がいきなり佐野元春の『君を連れてゆく』のカバー。おお!

この曲は元春がうたうよりもこの人がうたう方が好きだ。(元春のデビュー30周年大阪でのライブでうたうのをNHK BSで見た。ものすごくかっこよかった。)

他の初めて聴く曲も、九州の方言まじりで語られる素朴なMCもよかった。特に、『新・新・相馬盆唄』心に沁みた。

それにしてもシャイな人のようだ。

「山口兄です。」と出てきたチャボに言わせると「二人ともウジウジしちゃうタイプ」なのでユニット名は『ザ・ダークネス』だって。

あの有名な『満月の夕』を初めて生で聴けたのもうれしかった。

 それにしてもライブって、その日その場所でしか味わえない唯一無二のものだな。それぞれのミュージシャンの資質、体調、その日のお客を含めた会場の雰囲気、季節、天気、その他もろもろの条件によって、同じ曲を演奏するにしても毎日違うものになっている(はず)。成分が違うものを混ぜ合わせておきる化学変化のようだ。当たり前の事だけれど。

と、ジャカジャカと心底楽しそうにギターを掻き鳴らす二人を見ながら感じたのでした。

 

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 そして、また別の化学変化を楽しもうと出かけたのは27日のプラッサ・オンゼ。『江藤有希 ちょっとソロ、ほとんどデュオ Vol.7』に行ってきた。バイオリン弾きの江藤さんは色々な所で活動をされているようですが、私達はコーコーヤの江藤さんしか(ほとんど)聴いたことがない。このシリーズは前から興味があったのだが今回初めてプラッサでやる、という事で出かけたのである。しかもお相手はパーカッションの岡部洋一さん。わくわく。

カバー中心のライブ。『フォホー・ブラジル』よかったな。この手の曲に岡部さんが入ると、ほんとかっこいい。

 なんていう曲か忘れたけれど、聴きながら、音楽って世界をめぐるなあ、とぼんやり考えていた。南米のどこかの曲だと思うけれど、ヨーロッパ(北部あたり?)のロマ音楽のような風味を感じ、そういえばロマのルーツはインドで中東を通ってヨーロッパに入っていったと読んだことあるなあ、ヨーロッパから南米への移民達はヨーロッパの音楽を持ち込み、先住民やアフリカからの奴隷が持ち込んだ音楽と融合していったんだよなあ。などと、つらつら。

 江藤さんの曲『雲のかたち』を聴けたのはうれしい。彼女の作るメロディーは優しくて親しみやすい。すうっと耳に入ってくる。でも鼻歌程度に口ずさんでみると以外に難しくて複雑なメロディーだと気付くのだ。ブラジル音楽を通過している人の特徴なんだろうな。

珍しい楽器を演奏する岡部さんを目の前で堪能できたし、この〈二人だけ〉のライブ、楽しかった!