今更シリーズ 旅の思い出2013秋
あれよあれよという間にもう2014年の3月ではないか。
先日、旅行に行ってきたので、その事を書きたいと思ったのだが、昨年秋の旅と冬の旅について書いてないので、まずそちらを書く事にする。
2013年9月なかば、福島県へ行った。旅の目的は二つ。福島県立美術館で特別展『若冲がきてくれました プライスコレクション江戸絵画の美と生命』を見る事と、なぜかいつも夫婦バラバラのそれぞれ一人旅で行っている会津若松に二人で行く事、であった。
1日目。
早起きして東京発7時44分の新幹線に乗り、家から持参したパン(炒めたウインナとキャベツをはさんだドッグパン、きゅうりの糠漬けをはさんだサンドイッチ)で朝食をとった。糠漬けサンドは、よく漬かったきゅうりがあるのに旅行に出なければいけない、じゃあパンにはさんで持って行こう、という思いつきで作った。日本のピクルスだもの。予想通り美味しかった。バターがきめてだ。
グーグー寝た後、9時45分福島着。荷物をロッカーに預け、飯坂線に乗り美術館図書館前駅へ。歩いてすぐの所に美術館はあった。電車から降りた他の人達の目的も私達と同じ。さっさと歩いて、すでにできていた行列に並んだ。
人気の展示で連日かなり混んでいる、1時間待ち、という情報もあったので覚悟していたけれど、列はさくさくと進み、15分程で建物内に入れた。
入ってすぐの壁には敷地内の除染状態についての張り紙があった。ああ、ここはFUKUSHIMAなのだな。
チケットを購入してさっそく絵を鑑賞。じっくり見るには人が多すぎるので解説はとばして絵に集中。ユーモラスな絵がたくさんあって楽しい。日本の漫画文化の源流はここにあったか。若冲の絵も堪能した。
展示場を出たところにあった、対の屏風。これはレプリカなので写真OK。
牛の足元にいる犬が可愛いじゃないか!
長沢芦雪(ながさわろせつ) 白象黒牛図屏風
福島に戻り、昼食をとろうと駅周辺をさがしまわるが、あまり店がない。ない、わけではないのだが、お米を食べたい私が入りたいお店が見当たらなかった。じゃあ、まあいっか、とチェーンの居酒屋ランチで妥協する。夫は豚の生姜焼き定食、私は豚の照り焼き丼。夫の定食にはとろろがついてきたのだが、ちょっと甘めの味がついていて、それが彼には不満のようであった。(一口もらったけど、確かにおいしく感じなかった。好みだろうが。)
新幹線で郡山に行き、磐越西線に乗った。私が一人で会津に行くのはいつも新潟に行った後なので逆方向から会津に行く。この行き方は新鮮。(帰りはいつも郡山ルート。)
16時9分に会津若松着。宿に向かうべく、あかべえ(周遊バス)に乗って東山温泉へ行った。
今回の会津二人旅では、初日は夫の定宿、二日目は私の定宿に泊まろう、という事になっていた。定宿といっても2、3回泊まっただけなのだが。
私はいつもバスには乗らず、ひたすら歩き回っているので、初めてのあかべえ。そして東山温泉も初めて。夫によると、色んな意味でスゴい宿らしい。
さて。
まずロビーに足を踏み入れて感じたのは「カビ臭い!」
フロントには誰もいない。呼んでも出てこないので夫が奥まで行って声をかけたらやっと出てきた。噂どおりの宿である。
廊下もロビーほどではないけれどカビ臭有り。そして、チカチカしかかっている薄暗い蛍光灯が、否が応でも不気味さをアップさせる。
部屋はさすがにカビ臭はなく、古いけれど普通にこじんまりした和室だった。
冷蔵庫の中にはアルコールを含む飲み物がいくつかと、柿の種が入っていた。
こういう古い宿の冷蔵庫って中の飲み物も古かったりしてね、なんて冗談で言ってたら、こんなトマトジュースが・・・
製造日じゃないよね。
地酒の花春は製造日が。まあ、日本酒は賞味期限ってないから大丈夫。保存状態にもよるとは思うが。熟成しているか?
お、柿ピーは賞味期限内だ。
ちなみにこの日は2013年9月13日だった。
まあ、私自身は賞味期限過ぎたものだって平気で食べちゃうけど。消費期限切れの豆腐とかも火を通して食べてるし。家庭内の話だが。
ひと風呂あびてから1日目のメイン、居酒屋籠太へタクシーで向かった。
私は籠太が大好きで、特に籠太のこづゆがお気に入り。二人で行くなら絶対こづゆは一人一つ頼もうね。と前々から言っていた。分け合って食べるんじゃ物足りない。これが、こづゆ。会津の郷土料理である。
予約しておいてよかった。
奈良萬の燗を頼んだら、太田和彦さんが籠太にプレゼントした百名盃(ひゃくめいはい)というお猪口を使わせてもらえた。これがとても持ちやすく、呑みやすく、しかも美味しく呑める絶妙なものであった。
福島の美味しいお酒色々と美味しい肴色々で、満足してお店を出た。
路地をちょっと散策して猫と戯れた後、タクシーを拾い、宿にもどった。素泊まりなので、途中コンビニに寄ってもらって、翌日の朝食のおにぎりと味噌汁を購入。
夕方まだ明るいうちのお風呂場も薄気味悪かったが、夜のお風呂のコワい事!
でも、泉質重視の夫が選んだ宿だけに、お湯はすごく良い。自家源泉のかけ流しだそうだ。でもコワいから長湯はせずにさっさと出てしまった。
2日目。
8時前に起きて、お風呂に入って朝食をとって、10時前にチェックアウト。
近くの古くて立派な高級旅館の写真を撮ったり、ぶらぶら散策してから、夫は2度目、私は初めての武家屋敷へ。
思っていたよりも広くて、見る所がたくさんあり、見終える頃にはすっかり疲れていた。で、施設をでた所にあった飲食コーナーで抹茶とバニラのミックスソフトクリームを食べた。疲れた時の甘いものは本当に効く。回復。
昼食はお蕎麦屋さんの桐屋夢見亭。
私は以前、ここと同じ系列の桐屋権現亭で水そばと揚げまんじゅう(まんじゅうの天ぷら)を食べた事がある。水そばとは、おそばが何の味もついていないただの水に浸っている、ただそれだけのものだけれど。
漬物をかじりながらすする水そばは、なかなかいける。美味しいごはんを漬物で食べる感じに近い、かな。おそばの味がしっかりしていて、水も美味しくないとダメなメニューだと思う。
キリンラガー中瓶2本と青ばた豆腐、会津の天ぷら盛り合わせ、そして水そばをいただいた。天ぷらはまんじゅうはもちろん、朝鮮人参まで揚げてあった。朝鮮人参って初めて食べたけど、苦いんだな。
バスで会津若松駅に行き、私がよく利用しているビジネスホテルへ。チェックインにはまだ時間が早いのでフロントで荷物を預かってもらって、街の散策に繰り出した。いつも一人で歩き回っている場所を夫と歩くのはなんだか新鮮である。
今まで見た事がない立て札が所々ある事に気づいた。近づいてみると、『八重物語り』。新島八重の生涯のあれこれが、味わい深いイラストとともに書いててある。こんな感じのがあちこちに。
1時間ちょっとぶらぶらしてからホテルに戻ってチェックイン。
利便性重視で宿を選ぶ私なので、このホテルは駅に近く、スーパーも近くにある。会津若松は街中にコンビニを見かけないので、駅のNewDays(コンビニ。24時間営業じゃないけど。)がそばにあるのでよく利用する。
一休みしてから、2日目のメインである盃爛処へ向かった。ここは夫が前年入って、大層気に入ったお店である。私は初めて。予約した時間を数分遅れて入店した。
馬ハラミがものすごく美味しい、と聞いていたので食べてみた。馬ハラミ自体初めて食べたのだが・・・うわー!美味しい!!バターのような甘みがあって絶品。
食べかけの写真だけど。
今でも思い出すと食べたくなる。
油揚げも美味しかった。厚ぼったいタイプの油揚げ、大好き。
手前はつくね。
その他にも色々食べた。もちろんお酒も。会津娘の純米吟醸とか、国権の純米吟醸とか、風が吹くの山廃純米とか、他にも福島のお酒を色々。変わったものではSnow Dropという、ヨーグルトのリキュールをサービスでのませてもらった。飲むヨーグルトみたいだけど、アルコール度数はビールよりちょっと強め。口当たりがいいからお酒の弱い人でもクイクイいけてしまいそうだが後で大変な事になるかも。原材料はすべて会津産だという。
こんなのも呑んだ。洒落たラベルだなあ。
で、さんざん呑んだり食べたりしたわりには、お会計で請求された額が驚きの価格で、「安い!」と夫婦で声をそろえて言ってしまった。純米吟醸クラスのお酒を中心に呑んでいたというのに。良いお店だ。
店主のカズくん(お店の人にも常連さんにもそう呼ばれていた)には長生きしてもらいたい。ものすごく立派な腹の持ち主なのでちょっと心配。余計なお世話だろうが。長く続いて欲しいお店だ。
ホテルにもどって夫は先にシャワーを浴び、寝っころがって漫画を読もうとしていたが、1ページも読まないうちにぐーぐー。
私はチェックインの時にもらったアメニティーグッズ(女性のみ)に入っていた入浴剤を入れてのんびりお風呂に入った。(このホテルの宿泊客は、近くの入浴施設に無料で入れるのだが今回は利用しなかった。)
私がお風呂から上がってしばらくしたら、夫が復活。「第2ラウンドだ!」と言って、ホテルにもどる前に買っておいたビールを飲み始めたのだった。どこまでのむんだこの男は!付き合う気のない私はさっさと床につき、本を読み始めたけれど寝落ち。ぐー。
3日目。
半年も前の事を書くのもつらくなってきたので、最終日は思い切りはしょってしまえ。
台風が近づいていたこの日は雨が降ったりやんだり。午前中は別行動をとっていた夫と待ち合わせ、かなりの雨の中を向かった先は満田屋。味噌と田楽のお店である。
以前ここで食べた田楽が美味しかったので、夫にも食べてもらおうとやってきた。人気店だし、日曜日の昼時ということもあって、混んでいた。店内のベンチに座りしばらく待っているうちに順番がきたのでカウンター席に座った。カウンターだと目の前で焼いているのが見えるのだ。
田楽メニューは単品もあるけれど、色々楽しめる田楽コース1250円を注文した。前回来た時もこれ。こんにゃく2本、豆腐生揚げ、おもち、しんごろう餅、里芋、身欠きにしん、のコースである。具材によって味噌が変えてあって、とても美味しい。でもビールがスーパードライなのがちょっと不満。
上の写真は、 手前右から順番に、しんごろう餅、里芋、身欠きにしん、おもち。
こんにゃく
生揚げ
夫も気に入ったようで、ビールの後で日本酒(会津中将と、あけぼの酒造の純米)をぐいのみで3杯も呑んでいた。ちなみに周りを見ても、昼間からアルコールを飲んでいる人はほとんどいなかった。皆さん車なのかな。それとも単に私達がダメ人間なのか?
雨もあがり、近くにある酒蔵、末廣へ向かった。私は前回2011年の夏にも行った。震災後、会津の観光客もがくっと減ったと聞き、夫に「金使ってこい!」とお小遣いをわたされて末廣の売店でも意識して多めにお土産を買ったのだった。
前回の酒蔵見学は私一人に蔵の人のマンツーマンだったけれど、今回はそれなりの人数。夫はこの蔵は初めて。
見学後、試飲させてもらった。試飲の量がほんとにちょびっとなのが夫には物足りなかったらしい。確かに、今まで行った事のある他の蔵や酒屋さんの試飲はもうちょっと入れてくれることが多いけどさ。さんざん呑んだからもういいでしょ。
のんびり駅にもどるか、と通ったことのない道を歩いていた。そろそろ駅に着きそう、というあたりに『大熊町 仮設住宅』があった。せつない。今思い出しても。
駅のお土産屋さんでままどおるとエキソンパイを買い、実家には、かすてあん。
まだ時間があったので、向かいの蕎麦屋でおやつ。夫は揚げまんじゅうとコーヒーのセット、私はアイスクリーム。アイスクリームには、あまりうれしくないカラースプレーがパラパラかかっていて、ちょっとがっかり。揚げまんじゅうにしておけばよかった。
台風の影響で、あちこちで電車が止まっているという不安なニュースを聞いていたので郡山までもどれるか心配だったけれど、無事に行けそうで安心した。
16時21分の鈍行で郡山へ。出発前に車内から外を見ていると、会津に到着したばかりの人達がホームに降りてきた。(翌日には会津にも台風が。あの人たちはどう過ごしたのだろう。)
郡山まで車内で熟睡していたので、新幹線に乗り換えてからは眠らずに19時44分東京着。
東京駅で降りた時はそうでもなかったけれど、乗り換えで秋葉原で降りた時、むあっと暑さを感じた。電気をたくさん使っている街だからかな?
地元の駅に着き、なじみの飲み屋、い(仮)へ。マスターが丁寧に作っていつも美味しいお通しをビールとともにいただきながら、「あー、帰ってきた。」としみじみ。
穴子の白焼きが美味しい。夫は会津では食べなかった魚の刺身を注文。(馬刺し、馬レバーを食べていた。)
籠太、盃欄処、い(仮)、みんないいお店だ。良い旅だった。
このブログのタイトルにある写真は2011年夏の会津、鶴ヶ城で撮ったもの。
もうすぐ震災から3年か・・・